未知なことの楽しみ

みちの家 (くうねるところにすむところ―子どもたちに伝えたい家の本)

みちの家 (くうねるところにすむところ―子どもたちに伝えたい家の本)

これは、「子どもたちに伝えたい家の本」シリーズの絵本で、
建築家の伊東豊雄さんが書いたもの。


これを読むと、頭がす〜っとして、心がとても軽くなる。
語り口もとても優しく、「〜でしょうか」「〜かな」と曖昧に放たれた語尾は、
彼の建築同様、いろいろなモノが並列で、可能性に満ちているように感じる。


私たちの体・家・街には様々な道があり、それらは交差し、接続・切断されたり、
広場のようなものを作ったりしながら、複雑なネットワークを形成していく。


そこで私たちは自由に動き回り、出会い、発見し、出会ったモノや人との
コミュニケーションの中で感情が生まれる。
カタチはどんどん変化するし、無くなってもいくが、記憶として残るモノは残る。


そのプロセスは幾通りものパターンが可能で、それこそ無限。


海外旅行で、予定を立て、見たい所を見て回るのも楽しいが、
何も考えずに散歩してる時に、ふと見つけ、心にしみる風景のような。


道しるべのようなものではなく、ただそこにある日常を浮き彫りにするような、
そんな優しさがこの本にはあると思う。